雨の音が聞こえる。

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わたしはここでぼーっと休むのがすき。
この家、雨の音が聞こえるから。


マンションでは聞こえない。
壁も厚いし、庇も深いし、サッシも密閉性が高いし、雨の音も、匂いも、気配さえ一部も家に入ってはこない。
雨が降っているのは、別の世界の出来事、という感じ。

森の中の一軒家。
屋根を叩く雨垂れの音。

強く、激しく。
静かに、優しく。
リズミカルに。突然に。

夜中じゅう、天からの恵みが落ちてきて、木々の葉を打ち、屋根を打つのが聞こえる。
聞いてて飽きない。
オーケストラを思う。
盛り上がってきて、雨が勢いを増してきて、一陣の風も手伝って、どんぐりの梢を吹き抜けると、ざざーーっと枝の雨だれが落ちてきて、ばらばらばらばらっ!と轟音となる。
鬼が屋根を踏み鳴らしたみたいに。
トトロが地面をどーんと踏んだ時のように。

ドラムの連打のよう。鍵盤を踊り狂うピアニストを思う。
拍手したくなる。

おお!とか、ほぉーすごい!

とか、雨だれに向かって思わず声をかけたくなってしまう。

夜が明けて、森ごと丸洗いされた景色が現れる。
視界が賑やかになると、ビジュアルに遠慮するのか、音の世界はすこし控えめになる。

みんな一色、濃くなっている。
みんな雫でキラキラしている。
みんなさぁ伸びるぞ、という気で漲っている。
by soukou-suzuki | 2008-06-30 00:52 | Hikari NOW!
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