追分そぞろ歩き -漂白の思い止まず-

追分宿郷土館へ行ったら貸切だった。貸切で入れなかったのではなくて、私だけの貸切状態だったという意味。ボタンを押すと馬子歌が流れる。私だけのために歌っているので、テープといえど、つい真剣に歌詞を聞く。追分節の元になった浅間の歌だ・・・。歌詞は切なく優しい。
稲垣黄鶴さんという追分地元の女流書家の企画展もやっていた。サハリン引揚者の女史は、追分は北国街道と中仙道の辻に立って、筆一本で稼ぎ、それを孤児へ寄付していた。女史の優しさ、哀しみから生まれる強さ、物を見る澄んだ目を思わせる書や俳句の数々でした。
苔むした溶岩(ラバ)垣の美しいこと。(黒い溶岩と緑が絡むことになぜか物凄~く惹かれる)
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浅間神社参拝。大山神と磐長姫を祭る、軽井沢町最古の木造建築。明治天皇即位後まもなく(明治2年)に浅間の火山活動が激しくなり、天皇の勅祭が行われたことで有名。境内にある芭蕉の句碑、「ふきとばす石も浅間の野分かな」を読み上げたら、野分かと思う一陣の風が境内を吹きぬけた。ほら、風、見えますか?私がここに来たことを、浅間山が認識してくれたメッセージのように思えてお賽銭のお返しを・・・。「毎日、煙を上げる姿は凛々しいけど、マジで怒らないところにこそ、真の強さとゆとりを感じるわ~」とちょっぴり持ち上げ気味に祈りました。
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追分節発祥の石碑。蔦に絡まれた石灯篭。ふっと迷い込みたくなる「奥の脇道」。
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新しいお気に入りスポット古風だけど古くない一戸建ての古本屋さん、コロニー。夫婦で経営、カフェも併設。店内はジャズとボサノヴァがかかり、整然と古書が並ぶ様は、先ほど見た辰雄の書庫を思い出させる。もちろん堀辰雄が多数揃えてある。辰雄初期の短編集「燃ゆる頬・聖家族」を200円で購入。
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老舗旅館の油屋さんは休業中とのことで寂しい。啓子さんは泊まったことがあるんだそうな・・・。残念、是非とも文豪の息吹を感じて過ごしたかった。
ここで長逗留していた堀辰雄は、たまたま火事の難を逃れたけれど、たくさんの蔵書を焼失したという。向かいに一叢(ひとむら)の薄(すすき)がそよいでいた。物思いの秋だなぁ。
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油屋さんとほぼ向かいのギャラリー&カフェ「ごんざ」さんで、スパイス・ティーと胡桃のケーキで一休み。カフェ中央の大きなテーブルに座っていると、「変わった色のボルボがあるなぁ」という声に思わず反応したことから、花瓶を挟んで正面で定食を頼んでいる夫婦と会話が生まれ、次第に「ごんざ」のマスター夫妻も加わって、一緒にお喋りに花が咲く。浅間山荘事件はどの辺のことか、冬場の過ごし方、お勧めの食事処、水道管が凍結する話などなど・・・。そうするうちに、携帯がブルブル。「お迎えに来て~」というメールが入って、車で御代田へと下った。
ごんざの日替わり定食(1300円くらいだった?)はリーズナブルで、飽きがこなくてよいと夫婦が勧めてくれたが、今日は材料がなくなったとのことで、再来を約して終わった。
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御代田の家を戸締りして、星野温泉「とんぼの湯」でリフレッシュしてから、この時期になると別の国のように静かになる旧軽井沢で夕食をとることにした。(GWや8月には寄り付かない旧軽井沢も9月は落ち着き払っている)何を食べようかあれこれ考えるうちに、サンラータン麺が人気の中華、赤坂「栄林」に明りが灯っているのを見つけた。
コレ、名物サンラータン麺は42年生まれのメニューなんですって。なぜか親近感が湧くじゃない?何でだかは知らないけどね(^^;おお、この赤さ!辛さ、!酸っぱさ!(^^)春巻もゴチになって、満足、いや満腹で東京へ・・・。日曜夜の高速道路は変に安い。割引の基準に悩むほどだった。
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by soukou-suzuki | 2007-09-12 01:01 | 散歩マニア
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