気ままに街歩き、でも‥

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ガイドブックとメトロとバスの路線図で気ままにパリの街歩きを楽しむ。(^.^)b
少し前の話。
パリは大晦日の夕方~元旦の正午まで、地下鉄は無料になります。市民や観光客も助かるけど、スリにとっても元手のかからない仕事日和り?
『無事是吉祥、今年もここまで大過なく過ごさせていただきました。感謝、感謝です。さて、今日は大晦日、一年で一番泥棒が多い日だわ。心して参りましょう~(^^)v』と靖子さま。故に、暗くなっての帰りの地下鉄は特に警戒していたのですが、やはり敵も必死の日。ルーブルからの帰り、オペラで乗り換え、3号線に乗り、ドア付近の椅子に腰掛け、カバンを手繰り寄せて落ち着いた時でした。電車のドアが閉まる直前に疾風のように擦り抜けて、そのまま走り去る男(たぶん)がいました。
ゴトン!
音がした方を見ると、今私たちが乗ったドアの前に座っているフランス人(たぶん)の女の子が、カバンを足元に転がしたまま、茫然自失でただ目を丸くしています。ひったくりにやられたのです。付近のマダムに促され、見兼ねて隣にいた女の子(東洋人でフランス語を話す)がカバンを拾い上げ、もう一方の手で被害に遇った子を抱き寄せて、小声で繰り返し何か言いながら慰めています。本人は一瞬の出来事がまだ完全に把握できていなかったようで、説明されてじわじわ恐怖が込み上げて来たのか、次第に表情が戻ると、口に手を当ててわななき出しました。次の駅で二人は下り、ホームのベンチに座り込み、ようやく被害を確認しだしたようです。一部始終を目のあたりにして、こちらまで動悸が激しくなるし、嫌な暗い気分になりました。
ただ救いは、優しく肩を抱きながら、一緒に下りた女の子の存在。落ち着き方を見ると、もともとの連れではなかったみたい。その優しさと落ち着いた様子に打たれました。彼女がいなかったら、あれ以上私が傍観者でい続けたら‥‥、あたかも『自分じゃなくて良かった』と思っているように見えてしまうぎりぎりのところでした。
クリスマス・イブは、自分の身内が被害者で、相手がスリだったから咄嗟に突き飛ばしていたけれど、今回はひったくりで実力行使。駆け出す足音の大きさと、『きゃっ!』という短い悲鳴、カバンが落ちるゴトン!という大きな音の三拍子に、私も一緒にすくんでいた気がします。
駅を出る時、後ろを見たらイヤホンしながらポケットに両手を入れている男の人がいた。わざとやり過ごして地上に出たら、角にまだいた。嫌な気がして、相手より先に進路を示したくなくて、信号が変わるまで足踏みしてどちらに渡るかけどられないよう焦らしたら、男も地下鉄の路線案内表示の向こうで時間稼ぎ‥?狙われたのがハッキリしたので、思い切り顔を見に振り返ったら去った。
恐怖心に際疑心、あの子に何もできなかった罪悪感まで残り、後味悪し。大好きなパリの、本当に残念な素顔。
by soukou-suzuki | 2007-01-06 18:27 | かわいい妻には旅をさせろ
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