女のOFF ―VOL.8

―女将と若女将の素顔拝見―
私が一人で図書館に篭っていた時、次の間で女将が新しい設いの説明を仲居さんを集めてしていらした。盗み聞きもなんなので、間口に膝をついて拝聴していたが、どうやら女将の視野に私が入っていなかったようだ。内幕事情を一通り話し終わってしまってから私の存在に気づき、これじゃ夢が無いわねと恥ずかしがりながらもこちらを気遣ってくださった。
ソフトスーツ姿できびきびと指示を出す佐藤年さんは、女将というより女社長的イメージでした。
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翌朝、俵屋さんにもお茶室があるのではないかと思い立ち、チェックアウトしてしまってから訪ねると、なんと朝から泊り客に抹茶を振舞っていたらしい。部屋に篭りすぎて少々疎すぎたと反省。せめて茶室を拝見したいと申し出ると、仲居さんが案内してくださり、水屋から「火を落としたばかりですから」と、セーター姿に着替えた若女将が一服点ててくださった。
俵屋特製、俵型の和三盆と菊寿糖。軸は「雪を払って松の経(みち)を開く」。聞けば若女将が京都に嫁いで、こちらで入門した表千家の初釜の福引で当てたお軸なのだそう。新しくて古い世界へ飛び込んだ彼女への、何よりの「はなむけ」となる一行だったでしょう。
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横浜から京都の老舗旅館に嫁ぐ勇気と決意の物語を拝聴しようとしたが、ご本人はいたって自然で屈託無い明るい笑いをされる現代女性で、同級生か同僚と会話しているようにお喋りを楽しみました。同年代の女性としてとても好感を持つとともに、古都の「変わるものと変わらないもの」の両方を俵屋に見せていただいたことに感謝。

なんと2世誕生を1月3日に控えていらっしゃるとのこと。この床の間に、柳が2つの輪を結んで掛けられる新春を想像しました。俵屋に、佐藤家に末永くご多幸あれ。
by soukou-suzuki | 2005-12-12 01:09 | かわいい妻には旅をさせろ
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