女のOFF ―VOL.7

―「眠る」という活動―
感動したのはお布団回り一式。
硬質ウレタンマットに真綿の敷布団。ガーゼ地の暖かいナイティに着替え、真っ白なリネンにおずおずと足先から浸っていく・・・まるで初めて入るプールを前にして、その深さを計りかねているような気分で足先から触れてみると・・・!驚くほど沈まないマットレス。意外さを喜ぶべきか迷いながら寝そべってみると、背中には何も触れていないような浮遊感。掛け布団もシーツの感触だけのようでいて、すぐに体温を跳ね返してくる暖かさ。ヘルニアの首で心配していた枕は、硬軟2種のセット。誘い込むと思いのままに私の首に沿って静止した。
初めて見上げる天井。手の届くところに当たり前のように置かれた真鍮の時計は「カルティエ」でした。その金色の針で、繊細にこの豊かな時間を刻んでくれるに違いない。
幸せは長く続かない・・・いや、長く「感じて」いられない。気持ちよさを感じたのもつかの間、すぐに意識が無くなってしまった。

目覚めると、永いこと水に浮かんでいたような気分だった。いつもと同じ「くるみ割人形」が聞こえてきた。携帯の目覚ましを切って、カーテンを開く。朝陽が楓の木漏れ日となって、細やかに切り刻まれた形を幾重にも重ねて、きらきらと部屋に長く差し込んでいる。一瞬窓を開けて「今日」の空気を吸って、お返しに一晩中あたためた息を吐いた。ぶるり!すぐにミネラル・プールのような肌触りのお布団に舞い戻って、浮遊しながら伸びをする。ああ、毛穴まで開いてしまうリラックス。起きた瞬間から達成感を得られる眠りがあるのです。願わくば、人生の何割かはそんな目覚めを味わって生きていたい。
(「俵屋寝具」や「ナイティー」などは、ギャラリーでも通販でも購入可能でした。この「眠り」を連れて帰りたいのは私だけじゃないってことですね。)
by soukou-suzuki | 2005-12-12 00:57 | かわいい妻には旅をさせろ
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