雲のベッド

土曜の朝、シモンズのベッドが届いた。
設置を終えて配達員が引き上げると、早速カバーリング類の包装を解き、ハイジとお爺さんが屋根裏部屋で乾草のベッドにしたように、左右からシーツを着せる。ダブルマットレスは想像以上に高さがあった。少し遠目に見ると、部屋の中央に垂直に立ち上がっている四角い白い厚みは、まるで巨大な「まい泉のカツサンド」のようだ。
身長のない私は、はい上がる・・・と言う表現が正しい姿勢でいそいそ“台”の頂上へあがる。
仰向けになると、おお、天井よこんにちわ!見渡せばなんと視界の広いこと。
寝室の窓は腰高窓だが、窓枠より浮いた高さを、寝転んだ自分の視線が行き交う感覚は、プチ幽体離脱だ。寝室に居ながらにして、テラスの様子もリビングの動きも見下ろし加減に把握できる。これなら風邪で寝込んだ日も今までより快適に違いない。ああ早く風邪ひかないかな~と童心に帰る。
一方、想像以上の高さと私に蹴落とされる不安におののき気味の我が背の君は、永年使った羊毛敷布団を安全マットに転職させて、フローリングに敷くと言って聞かない。
この快適空間に?フローリングの上に安全マットォ・・・?
勝手にせい。ネットでもロープでも駆使して、ついでに保険も増額したらいい。そんなことでこのご機嫌を損ねてはいられない。
真新しいマットレスは、私の体を下から突き上げるように支える。久しぶりにまっすぐになったような気がする。そう、これこれ。ラッフルズさんやリッツさん、オリエンタルさんやペニンシュラさん・・・旅先でお世話になった名門「カツサンド」達の感覚だ。立っている時より良い姿勢でいる自分に気づき、立っていないから自分が軽く感じる。(あたりまえか)
そのままふわふわお昼ねしたら、夢は当然雲の上でしょ。ハイジのように雲のベッドで、今日は何処までいくのやら。
by soukou-suzuki | 2005-06-01 09:05
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