学びのご馳走。

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仲間と離れ、振替で一人ゼミの日。
毎度、五感が喜ぶ御祖堂参拝がたいそう久しぶりでした。露地なは初夏の気配がします。雨の合間の朝の日射しが綺羅綺羅です。

2月をお休みしたので震災での延期とで今年初めてのゼミでした。
真の初炭、行之行台子、香付花月。

香付花月では炊き終えて床の間に据えた香炉を先生が回してくださり、リラックスして沈香をじっくり聴くことができました。香のお裾分け、嬉しい。
点心には春の食材が馴染みとなり、蕗、筍、桜鯛、まめご飯…、呈茶のお菓子は銘が「おそ櫻」、鶴屋八幡製。この春の記憶を辿る炉も名残の一日となりました。

座学は「箱書」について。
「飾る、引き立てる、証明する、由来を示す」など箱書の役割から、箱の素材や、書き付けの方法の種類、鑑定から一歩進めた鑑賞に至る、箱文化を楽しむ心など、茶道の楽しみ方を教えていただきました。
銘は「独自の美の印象」だとも。
広辞苑を見れば「銘」は、金属に刻みつけること、から転じて忘れないよう心に刻むこととあります。
なるほどだから金へん。
「名」は、漢字源で見ると、夕空(三日月)の下で顔が見えない相手に口で自分を知らせること、と。
見る代わりの認識方法が「名」というわけで、「銘」との違いが主観や情緒、感動のあるなしで分かれます。まさに「独自の美の印象」、自分(所有者)が得た感動を示すものが固有の名となって銘…。
その感動を留めるた箱書を鑑賞するのは、銘を付けた人と共鳴するためで、決して道具至上主義ではないはず。なるほどと、厳めく見えていた箱書きの文字が、俄に優しく和やかに微笑みかけてきました。

お隣に座った、福島県のいわきからおみえの先生とお昼時間をお話して、「今日を境に半年から一年は来れないだろうと諦めたの」と。「でもいまは無理せずとも楽しめる時はまた来るからよいの…」としみじみ今日のお当番でのお点前や学びを味わう姿に打たれました。

その時は自分の前向きな意思や努力と感じていた「学び」は、振り返ってみれば幸運なる偶然の賜物だったようにも思えます。

ご馳走をいただいた気分。
by soukou-suzuki | 2011-04-23 17:40 | Hikari NOW!
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