イノモト的時間。

イノモト的時間。_c0049825_24093.jpg

今日は桃の節句で清水谷の稽古。
「百華春到為誰開」、紫埜(大徳寺)大仙桃林和尚の軸を掛けました。
平成八年に母と大仙院を訪ね、桃林和尚とお話して揮毫をお願いしたものです。私の茶名拝受記念に、初めての席主を明治神宮隔雲亭でさせていただく際に、この一行を自分のものとしたかったのです。
母の為に仕方なくお茶をしているのではない。また誰かに誉められたくてお茶をしているのではない。私自身が、自分の巡り合わせで出逢い、楽しさを見いだしてきたお茶なんだと、そんなことを気負いながら考えていたことを思い出して…やや片腹痛いですが、この軸を掛ける度に初心にかえることができる、海に立つ澪つくしのような一行です。

雛祭りの当日ということで、大先生(母)が洗心会の皆さんへ、とお手製ちらし寿司を差し入れしてくださいました。
本当は自分でと思いましたが、お願いして甘えてしまいました。
大先生は自宅稽古とあわせて三日間毎日ちらし寿司を作っていることになります。
大徳寺弁当の箱に二つ、ぎっしりのちらし寿司はさぞ重かったことでしょう。

すぐ帰るという先生をしばし引き留めて、小峯さんが濃茶を練りました。
私は自分のお弟子さんが練った濃茶を初めていただいたとき、熱く込み上げるものがありましたが、孫弟子の練る濃茶はどんな味がするのでしょうか。
まだ私には想像がつきません。
小峯さん、気合いが違います。紅をはいたような…と言いますが、茶碗の底を織部釉のように鮮緑で光らせた渾身の濃茶、甘露でございました。


大先生の煮豆入り蓮根たっぷりのちらし寿司。私の好物のひとつです。

今日は鶴屋八幡の西王母(せいおうぼ)。桃の実を象ったお菓子を使いました。
中身は卵餡。


お休みの方はお一人。
帰宅して残ったお菓子を鈴木麻起子さんの皿にのせ、ニワトコの枝を削った楊枝を添えてみました。

イノモト的な甘い時間になりました。

生命の泉から浮かび上がる桃の果実…。アジア的魔法の世界になりました。

ニワトコの枝は先週の花寄の稽古で生けた芽吹きが枯れたものです。
ニワトコは天ぷらで食べるくらいだから安全でしょう。
小刀で皮を削ぐ感触に癒されます。
by soukou-suzuki | 2011-03-04 02:04 | Hikari NOW!
<< ラジオ生放送終了 ラジオ日本「サンデーサウンドス... >>