庭が小さな宇宙を成しています。
足下にも枝の先にも、『精一杯』が咲いています。
標高、九百メートル。東京より一月遅く、春のおさらいをするように眺める花、かと思えば同時期のものもあり…。春は遅く、秋は早いので、その中でいつ咲くかは花の都合次第。単純に遅れるわけでもありませんし、花同士、『あの子の次に自分』と互いに申し合わせがあるわけでもないので、取り合わせも細かく見れば一期一会なのでしょう。
昔から5月と7月、8月は御代田で過ごしてきたから、東京の季節感と交ざって、花歳時記に一貫性のないわたしです。
タラの芽も今時期です。ほろ苦さと赤々した葉の柔らかさが、味覚以上の感覚を引き起こします。
母は茶色のお帽子を被り、早速庭仕事(庭遊び?)にいそしんでいます。屈み込んで見ているのはヒバの木のおチビさんです。柏崎さんからのプレゼントで、東北から移植されて5年ほどです。ようやく土地に慣れてくれました。
門柱の足下にはサクラソウ。紫色のすみれ?と混生しているのかと思いきや、枯れると青みを増して紫色の小花に見えるのだと気付きました。
雪柳も咲いています。東京ほどこんもりとは咲かず、山らしく楚々と(まばらに)咲いています。
四十雀がひきもきらさずにさえずります。
あちこちの枯れ葉を押し上げて、エニシダが産声を上げています。