風の道8月号から

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私が所属する俳句結社誌、『風の道』の8月号から、好きな俳句を時々、転載させていただきます。


  ファックスの忍び入る音夜の蝿           (千葉日出世)


ファックスがカタカタ、ズズッ、カタカタ…、ザザーッと、滑り出してくる気配。それを忍びか、泥棒か、はたまた異性か…、何者かの衣擦れの音でも聞くように『忍び入る音』と表現するなんて、なんと怪しくもユーモアに溢れているオトナの句なことか。
『夜の蝿』と、うざったさの代表で句を結んでいるが、相手は実害はなく、ただ静寂を妨げる無粋な輩である。お姉さまチェック!とばかり、ゆるいジャブに止めているあたり、切れ者の風格ただよひぬ…。読んだものへの共感を誘いかける茶目っ気も感じました。
斬新さとオトナの色雅に、怪しさとユーモアをふりかけた日出世さんの俳味が大好きです。
by soukou-suzuki | 2008-08-13 23:23 | Hikari NOW!
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