堀辰雄文学記念館。

一人で追分へ散歩に出た。いつもの骨董屋には寄らず、茶房にも寄らず、この日は少し奥まであるいて、堀辰雄の旧居で、文学記念館を見に行った。日曜の午後。もう人気がない。本陣跡の門構えを入ると、奥の細道が続く・・・。
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東京生まれの堀辰雄は、室生犀星に連れられて、十九の夏に軽井沢を訪れた。以来、毎夏を軽井沢で過ごし、執筆にいそしんだ。芥川龍之介に師事し、その人物像と死とに大きく影響を受けた。館内には芥川からの直筆の手紙も展示されていた。その書簡の中の、「君は私に遠慮してはいけない。また私に遠慮を求めてもいけない。」という芥川が堀辰雄に書いてよこした文面が、妙に新鮮に思えた。これって、好印象に感じた人に、最初に言うべき、的を得た短文だと思いません?文学者って、やっぱり文字の使い方が、凄いわ・・・。
結核と闘いつつ作品を生み出し、後年は静かな追分を好んだ辰雄は、この地で最期を迎えた。

 文豪の椅子の背ますぐ夏館(なつやかた)   ひかり

※季語は「夏館」
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辰雄お気に入りの庭に、別棟で作らせた書庫。しかし、ここに本が並んだのは堀辰雄の死後となった。夫人は、彼の手書きの指示書通りに本を納めるのが弔いの日課となったという。本は不思議と持ち主のぬくもりを宿す。何度、夫人はこれらの本を書架へ納める直前に手を止めたことだろう・・・。
右手の白い建物が、辰雄死後に夫人が住んだ家で、現在は展示室となっている。辰雄が愛した庭。
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by soukou-suzuki | 2007-09-11 01:35 | 散歩マニア
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