東京タワーの展望台のチケットをいただいた。18:00~の夜景専用チケット、2枚・・・。ふぅ~む、幾ら母が高いところが好きで、キラキラが好きだと解っていても、これに母親を誘うのはどー考えても変だ!野暮だ!ロマンスに欠ける!
しかもここ、ほぼ初恋(!厳密には違う?)のさる御仁と一緒に見たことのある、とっても懐かしい愛しい夜景ちゃんなんです~。私にとっては大事な”聖地”な訳ですので、トランプを配るようにぺらぺらと、そう頻繁に見てはいけない気がするのですよね~。(^ー^; さて困った。 冬の午後6時、既に空は漆黒。オフィスを出て芝公園駅で降りる。芝公園の周辺は暗い。木枯らしの中、一人でプリンスタワーを回りながら、これまた目いっぱい思い出の詰った増上寺を過ぎる。増上寺が、闇に潜んみながら、じぃっとこっちを狙っているような恐怖を感じながら、坂を登って徐々に光の塔へと近づいていく。近寄るほどに塔の光は、太くなり、直線的になり、白と赤にはっきり塗り分けられていく。見上げると、東京タワーが、太もものストレッチをしているようだ・・・。 入り口付近にはクリスマス・イルミネーション。恋人同士が肩を寄せ合い、記念撮影している。ああ、少し傾斜のあるこの駐車場だ、「あの時」、長々と話したのは!あの日に着ていた自分の服を今も覚えている。フロントガラスから一緒に見上げたタワーが、真上に照っていたっけ。同じように見上げたら、くらくらと足元が揺れた。 大展望台から六本木ヒルズを見る。見上げも、見下ろしもしない、少し向うにいて、向かい合っているような感じ。あの時は夜景のほとんどは見下ろしていた気がする・・・。それとも、特別展望台からだったのか? 1人で夜景を見ることは寂しくない。かつて2人で見たものを1人で見るのは少し寂しい・・・。 携帯電話がやっと鳴った。大展望台の神社の前で待ち合わせる。暗闇での待ち合わせ♪2人で、プリンスの庭にできたサンタの形のイルミネーションを眺める。結局、さらに600円払って地上250mの特別展望台まで登った・・・、無意味と解っていても、特別な日には登りたくなるもの。そんな心理を突くために、大多数の特別でない人々の反感をものともせず、特別展望台の展料金は君臨し続けていたようだ。 エレベータは狭く、展望台はぱっとしない。上から見たものは、幾分遠ざかっただけの夜景だった。いつもと同じ失望を確かめて安心している。地面を這う、血管のような、川のような、紅白一対の水引のような高速道路や幹線道路の光の帯を見ながら、「あれは目黒線との分岐だ」、「あれは赤坂へ行く」・・・などと言っている連れの声を聞いてはいるけれど、一瞬の後には忘れてしまう。光るものを見ていると、私は考えることができない。光の流れる方向や速度、煌きのパターンを感じることしかできなくなる。 聞いた道路のことは忘れても、その時かかっていた曲や、ガラスに映り込んでいたものや、連れが自分のどちら側に立っていたかは不思議と覚えているんだけど・・・。 もうすぐ、新東京タワーができたら、今日の記憶もあの思い出も、「昔の話」に昇格するのだろう・・・。 時間が、思い出を勝手に偉い人のように祭り上げて、現実離れさせてしまう。 あれはほんの、ごく普通の、普通さが青くてよい時だったのに。 振り返って、東京タワーの全様をカメラに納めようと思ったら、あとずさっても、あとずさっても、なかなかカメラに入りきらなかった。1枚にするには、思い出が大きすぎるから?
by soukou-suzuki
| 2006-12-15 01:49
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