11月5日。東小金井駅から10分の大大森邸での茶会にお呼ばれした。青年部のお友達と、職場のお仲間も誘って訪れる。渋谷で水屋見舞いを買おうとFOOD SHOWに入ったら、人ごみにあてられ気分が悪くなる・・・。(もし渋谷に人間が半分しかいなかったら、この街は倍も素敵になるのに・・・)元々の風邪による頭痛がさらに悪化した。 中央線って、長い上に、黄色とオレンジの2種類あって、時々すごいぶっ飛ばしていくのもあったりして、どれに乗ってよいのかいつも悩む。乗ったり降りたり、いつも落ち着かない・・・。何度か失敗してトラウマになっているのか、実は未だに馴染めない代表的な路線の一つなのです。(何十年、東京に住んでいるんだか・・・) それはさておき、大森邸の門を一歩入る。見事に苔むした石畳の上に佇み、大木を仰いでいる自分を不思議に感じる。 「あれ?いつ”どこでもドア”を抜けちゃったかしら?」と後ろを振り返る。門の外は普通の住宅街。さっきまでの現代の東京とちゃんと繋がっていた。 鬱蒼と茂る木々の発するリアルな自然の気配。飛び石沿いに小暗い道を抜けると、ぱっと明るい芝生が広がり、太鼓橋を通って小さな丘に出る。(社長がパターの練習をする場所?^^) 逆光の中、一叢(ひとむら)の薄(すすき)が穂を揺らして、武蔵野の面影を留めている。 建物を廻る廊下の玻璃戸は古いガラスで、向うの景色をゆらゆらと歪めて映し出している。ガラスの向こうが異次元のようだ。 「チィーーーーッッ!」 頭上で百舌(もず)の声が聞こえる。囀りというより、雄叫びのよう。全身から搾り出すような悲痛な声。それまでの思索を中断され、我に返るたびに、どのくらい時間が経ったか振り返る。 このロケーションに身を置くだけでも価値がある。外から見る日本家屋は、老舗旅館に来た様で気持ちを贅沢にさせてくれる。柊家さんを思い出す。 大玄関には通風の窓があり、お爺ちゃんの家を思い出す。(玄関が広々しているとこんなに気持ちが良いのに、なぜ最近の家はこうも玄関を縮めちゃったのだろう・・・。お風呂場が広めに復活しつつあるけど、玄関はまだまだ虐げられている。玄関って、御用聞きさんのお休みどころであり、リビングでは公にできなかった内緒話をする場所であり、物思いに耽る座禅堂である、大事なプチ・リビングなのに・・・) 新青年部発足から12年の経過を記念して、茶会のテーマを『還』としたと言う。干支の香合を随所におき、過ぎた12年間を振り返る。やはり今日は私も「時をかける少女」になればいいみたい。新青年部発足時、宗家研修と青年の船に乗ったことが私の大きなきっかけだったかも知れない。L・Tと結婚の年が重なって慌しかったこと、翌年できない会計を任され、年末に泣いたこと、役員を離れて年貢を納めるだけだった頃、その間も変わらず仲良くしてくれた仲間たち、役員に引き戻された年、全国大会から部長職へと続いていった一連の流れ、その12年間の流れの中で、常に底を流れていた人との縁、お茶との縁・・・、そんなことを、ここに並んだ干支の香合たちが語っているように思えた。 寄付(よりつき)は、青年部手製の作品が並ぶギャラリーとなっていた。あちらこちらに配されたフラワー・アレンジメント。結界代わりの植木の下に置かれた孫悟空の香合が可愛らしいこと。一杯の香煎に、外から微かに香る風。 艶々に磨かれた廊下を歩き、2階へ。『関』の軸をはじめ、正統派の濃茶席では、亭主の勤め先である虎屋製のお菓子が美味しかった。薄茶席では、この日の為に造らせたという釜がご馳走でした。青年部の同期部長仲間と同じ席になり、思えばこの2年で何度同じお釜のお湯を飲んできたかな・・・とまた振り返る。12年の中でも、特に鮮烈で濃厚なこの2年間を愛しく思う。 おしのぎも手製。農大で開発したという花の糀でできたお酒にほろ酔う。 柚子の代わりにオレンジをくりぬいた器。私の胃袋に、たくさんの人の「工夫と楽しさ」を納める。体が元気になりそう・・・。ところでオレンジの中身は何処へいったのかしら。(水屋のおやつでしょうか?)西日が差し込む席は、はるか昔を漂う気分。 『武蔵野時間旅行』、とても楽しく、豊かな気分の一日でした。杉並響、杉並昴の両青年部のみなさま、本当にお疲れさまでした。大仕事がまた一つ、無事に終わったことをしみじみ喜んでください。 孫悟空の香合をみたからじゃないけど、白いVOLVOが「ぶぅ~ん」とお迎えにくるまで、小金井で大人しく待ってしまいました。(^ー^)v
by soukou-suzuki
| 2006-11-12 01:50
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