ベトナムはハノイ、東京は丸ビル、京都は祇園で・・・飲みましょう>
茶会がはねて自由の身に!『法然院がええねん!』とタクシーと飛ばして雨の中を門まで駆け上がるも、JUST閉門っ!門前の景色を見て、『な、ええやろ?入れれば中はもっとええねん!』と主張するのを拝聴する・・・。古都はパリといい京都といい、シャットアウトの思い出が多い。そういえば最初に心にズキュンと響いたフランス語は、ボンジュールでもメルシィでもなく、ましてやジュテームでもなく、『フィニ!(お終い)』の一言だったもんね(T_T) さきほどから『ええねん!』と関西弁を連発している御仁は、神社の総本部(○○神宮)と同じ名前。このI氏とは、5年くらい前かしら?ベトナム旅行に行った先で、道を尋ねた後、ホーおじさん(ホーチミン氏)の発明した『水上人形劇』を一緒に鑑賞したのがきっかけ。その後、I氏の2年間のネパール駐在(道路1本、造ってきたらしい)を経て帰国を祝し、東京駅あるいは丸ビルで数度再会し、大阪人ゆえたまには関西で会わねば!、と今回は京都の祇園で飲むことに。(古都と首都をいったりきたり^^) 予約した店の開店まで少し時間があった。寺が終わるのは早く、店が開くのは遅い!では、前からちゃんとした数珠を買いたかったので、京都記念に西本願寺前の「あすか六字堂」で購入しよう。実家が神道だったせいか、今まで揃える機会も譲り受けることもなく、数珠を持っていなかった。ここはオーダーメイドも可能。「世界に一つだけの数珠~一人一人違う顔を持つ~♪(by SMAP)」 蜜柑カットの水晶に藤色の房。絹の房が気持ちいい。ついでに携帯用のサッシュも正絹で揃える。可愛すぎるかな?I氏は菩提樹の実で作った腕輪を購入。 「インドで拾うか、200円で買える菩提樹の実ぃで、この2万円の数珠が作れんちゃう?」と主張。確かにそうじゃろ。しかし、製造は日本に限る。葬儀中にバラバラッ!と床に散乱しかねない・・・。 祇園の花見小路へ行くも、「なんだ、これは!」という印象。日光江戸村のような、ディズニーランドのような、舞台セットのような京都風の通りが続いている。雨にぬれた石畳には、赤や黄色の提灯が写りこんで、わざとらしい気がしてしまう・・・。侘び寂びを期待していた2人は拍子抜けして、放心のまましばらく周辺を散歩。すると路地の植え込みで半分隠れた「たんぽぽ」という小さいネオンが・・・。違う意味で映画のセットになりそうなレトロな喫茶店。I氏はこういうところにどうしても入りたがる。珈琲を一杯、なぜか食前にですよ、(><;飲む羽目に! 小さな木製のドアの向うは、時のない喫茶店。カウンターの向うから首一つ出して、「え、あんたさんたち、なんでこの店に入った?」と昔美人のお母さんが聞く。喫茶店で、「なんで入ってきた?」と問われるのは初めての経験だ。「おばちゃん、駄目?いいでしょ、珈琲のましてよ」と、I氏は大喜びでお母さんとの出逢いを謳歌している。もう一目ぼれした相手に食いつくように、ここへ通うことまで誓ってまでいる様子・・・。(好きだな~、本当に^^;) 革の椅子は古く修理の跡もあるけどなぜか落ち着く。先ほどのセットの花見小路と違って、店内は全てが古色蒼然。お母さんに歩かせたら悪くて、珈琲が入るのを見計らって、自分でカウンターまで取りに行った。小さなカップに黒々した珈琲が、レトロ~な湯気をクネクネと立ちのぼらせている。 「お客さんが何してるの!?」 「お客さんだけど、うんと若造だもん」 私たち二人が微笑み会うのを、I氏は嫉妬の目で見ている(^^)くくく。お母さんのハートを射止めるのはどっちだ!? 壁には猿之助の絵が所狭しと並んでいる。なんでも猿之助さんのことが大好きで、若い頃から東京まで、年に4回は歌舞伎に通ったそう・・・。(おお、やるなぁ) 私が着ている萩の着物が気になるらしく、足が痛そうなのにカウンターのこちらにわざわざ出てきて、「あんたさんの着物、よく見せてぇ」とあれこれ褒めてくれた。「母のお下がりで、ちたわの着物です」と言うと、 「え~!やっぱり。私もちたわの着物が大好きでね~、歌舞伎座の帰りにちたわの着物を買ったわ」・・・と。 私たちが京都の物を欲しがるのと一緒で、 「あたしらは何でも東京の物が欲しくてね~」 と目を細めて笑う美代子さん。あん、可愛らしい^^) あ、I氏の嫉妬が炎に。。。 猿之助さんの絵は、全て美代子さんの息子さんが描いたそうだ。別の絵はお孫さんの絵。そして、秀逸なのは「カブトムシの絵」。なんと曾孫ちゃんが描いたもの!ハガキと画用紙に描いた絵には、「絵が欲しい場合は売ります。レジに言ってください」とコメントが! 男が代々、絵を描く家系なのね。私の生まれた松浦家では、「男は釣り!」だったなぁ。 「お幸せですね・・・」というと、意外な答えが・・・ 「この店も一人で50年してきけど、もうどうにもならしません。京都は娘が居らんかったら駄目ですわ」 ふぅん。うちの母親は、明治生まれの舅に、 「男の子を産まないうちは産んだことにならん!」 と言われたらしいけど。(お~い、その台詞って、つまり2番目の女児「私」誕生のタイミングで出た言葉だよね~!しどぉい!おじいちゃんのバカァ)東京都と違う京都の一面をまたふぃっと見た気がした。 10分のつもりが30分に・・・。ここは時のない喫茶店。写真が1枚も無いから、もう一度訪ねてきても、ちゃんとあるのか、幻だったんじゃないか、まじめに心配になる。 お母さんの名は鳥居美代子さん。素敵な名前。(教えてくれたんじゃないけど、見ちゃったの。だって曾孫ちゃんのハガキに、宛先があったんですもの^^;) 別れ際に急に名前で呼ばれて、目を真ん丸くして 「あんさん、なんでうちの名前しってるの!?」 とパチクリしていたお母さんが忘れられない。ちょっぴりいい時間。I氏の嗅覚にも感謝です。 ようやく予約した祇園の「らんぶる」でおまかせコースを食べる。 「もしネパールの山奥で、病床にあって腹も壊していたら・・・俺はこのあんかけに5000円まで出す」写真右にI氏が感動して言った台詞。(へぇ~、現場近くで飯屋やったらぼろいかしら^^;あ、いかん、たくましい大阪のオバちゃんになってもた!) 2階はまだ現役のお茶屋さんで、表札が掛かっている。一見を決して入れなかったお茶屋も、それで商売を続けるのは至難の時代だとお母さんも言っていた。でもそこはかとなく漂ってくる雰囲気は、作った町並みからでは生まれない。そこに息づく人たちから漂ってくるのだから。京都中の女将に「頑張れ」とエールを贈りたい。 辻利の店内。まるでマリアージュ・フレールとそっくり(^^)古今東西、お茶屋さんにベストな配置?缶が黒いのまで一緒。 パフェは汐留でもいただけるし、お抹茶は京都でよりデパ地下で買った方がカードのポイントになる。見るだけ・・・(つまり美味しいお煎茶を一杯いただくだけ)のツモリが、お茶漬けセットを刹那買い。 通りかかった「元禄」にご挨拶だけして、先斗町で一杯飲んで駅で別れる。私はタクシーで典子お姉さまの待つお宿へと帰りました。(門限に5分遅刻!タクシーの運転手さんが間違えたせいだもん!と言ったら1メーター分にしてくれました^^; あかん、I氏の影響でオバちゃんになってる!)
by soukou-suzuki
| 2006-10-16 23:50
| かわいい妻には旅をさせろ
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