入梅

  さみだれに 雨読 晴好 雨読かな     ひかり
日本が一斉に梅雨に飛び込んだようですね。梅の実の熟する頃に降る雨の意で「梅雨」と言いますが、時期に黴(かび)が生じやすいことから黴雨とも書くんです。湿気の多い部屋で空気の「底」に沈み込んで静かに本を読む時間…珈琲や御香の香りにも敏感になって、嗅覚から記憶を刺激されて、そのまま物思いに耽ることの多い季節です。晴れても耕す畑はないのですが、「ちょっと買い物しておこうか」と外へ出ます。お天気が気になり傘を持つ機会が増え、普段より窓やブラインドとちょっと仲良くなる季節です。
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  五月雨をあつめて早し最上川   芭蕉
五月雨(さみだれ)は旧暦5月の雨ですから、今の時期に降る雨のこと。「さみだれ」の「さ」はさつき、「みだれ」は水垂(みだれ)の短縮から、こんな美しい響きの言葉ができちゃったそうです。「五月雨式」といえば、継続しないで繰り返すことのたとえですから、ちゃんと晴れ間が存在してこそ「梅雨」なのですね。「五月晴れ」はそんな梅雨晴れ間のことで、心まで沁みるような、ひときわ眩しい響きがありますね。万物綺麗に洗い流されて、特に都心のガラスのビル群はキラキラと輝いて、飛び交う鳩をくっきりと映し出している様が目に浮かびます。
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「五月闇」といえば、太陽が見えない梅雨のどんよりした暗さのことで、昼間でも使います。私は結構、この五月闇に沈み込んで、インナートリップするのが好きです。え、意外ですか?(^^;)この時期は、TVを消した途端、部屋がシ~ンと静かになって、照明まで一段暗くなったような気がします。たった今、自分がストンとこの空間に落とされたような錯覚を覚えます。この世の「底」に沈むように、(クッションでも枕でも)両手で何かを抱え込んでそのままゴロリと横になると、意識はどんどん地中に潜っていきます。フリーダイビングのように「何処までいけるかな…」と自分の底を探るのです。そして其処(底)には、いつも意外な発見があるマイ・ワールドなのです。”五月闇ダイビング”をしている私を見ても、鬱と間違えて心配しないでください。海底のアンコウかなにかと思って、そ~っとしておいてください。
by soukou-suzuki | 2006-06-09 00:16 | Hikari NOW!
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