茶味禅味甘味一味。

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開炉。
稽古場に着くと甘い香りがしていた。釜鳴りより粘る鍋鳴りに耳を澄ます。

毎年、十一月は先生の炊いたお汁粉をいただいて、「あら、ついこないだも炉開きをしたけれど、あれはいつ頃のことだったかしら」と時間の経過をたどる。

正解は「一年前」です。当たり前ですが、当たり前の速さに驚きます。

しかし炉開きで「はっ」と驚いてるようでは茶人ではなく素人です。赤信号の交差点に侵入してから「はっ」としているのと同じです。
黄色い信号も、緑の点滅も、ちゃんと経てきたのですから…。

余談ですか、夏から冬への自然界の色彩のうつろいを、日本の信号がなぞるように表しているのは偶然だけではないような気がしますが…。
どなたか信号の色のルーツをご存知でしたら関係について教えてください。


とにかく、炉は開かれた!
小豆は炊かれた!

…賽は振られた!みたいですが、もう今さら今年の方向性を変えようとするのはお粗末です。

炉とともに自分を開き、今年初めに書いた手帳の目標がどれほどこなせたか嬉しく悔しく見返しながら、「有終の美」を求める季節です。

「有終の美」は得意な方ですが、温めて醸成してきた上の「有終の美」と違う、「せめてもの有終の美」が結構ありますよね。
こっちが本意みたいな時期も人生前半、多かった。

途中、転んでしまったけど、最後くらい自分の得意技でウルトラCに挑んで花を添えるか、あるいは最後までグダグダに失敗して、いっそのこと、さっぱりしちゃうか…。

なんだか落としどころばかり探る人生…もう卒業したいです。

今年はいまさら新技開発している場合ではないことは確か。こっそり新たな目標を書いてるのは、お拝見に出した道具を引きに出てから銘を考えるのと一緒で、人生が「つもり稽古」になってしまう。
…、得意だからな…無作為の境地。(^_^;)
裏山が自然にイングリッシュガーデンに育つことはない。
怖い、怖い。

来年を思うとき、なんとなく…とか、なりますように…くらいだと、またすぐ炉開きがきちゃうパターンです。自戒を込めてお点前を丁寧に。


とはいえ、二ヶ月といえば一年の六分の一をまだこれから過ごすということ。

つい早送りモードになりがちな晩秋から冬のひとときですが、一日、一日を噛みしめて過ごせば、噛みごたえ最大の時期でもあります。

収穫祭、紅葉狩り、年用意、父の忌日、クリスマス、忘年会、おっと…太陽暦と太陰暦と別にもう一つの暦がリセットになる日…そう、誕生日もくる。これがきつい。(*_*)噛みしめて何味となりますかはその一年の過ごし方による。

今日のお汁粉のような、甘くて温かく、ついお代わりしたくなる味であるように頑張ろう〜。

丹波の手より特大小豆のお汁粉、ご馳走さまでした。
私の社中は明日、炉開きです。
by soukou-suzuki | 2010-11-03 00:19 | Hikari NOW!
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